口腔がんの早期発見と対策
口腔がんとは
口腔がんは、お口の中(口腔)にできる悪性腫瘍です。がん全体からすればその罹患率は約1~3%と低い数値をしてしており、やや認知度が低いのが現状です。
口腔がんの特徴
増加傾向にある口腔がん
日本では口腔がんにかかる方は、1975年の段階で2100人でした。しかし、2005年には6900人、現在では約7000人にまで増加しております。(日本口腔腫瘍学会の調査)また、国内では毎年約3,000人が口腔がんで命を落としているという現状もあり、決して軽視できません。
罹患者は高齢者に多く、国内では高齢化に伴い増加傾向にあります。従前の男女比は3:1で男性の罹患者が多い傾向にありました。近年では、男性に比べて長寿な女性の方が増えたこともあり、口腔がんの罹患者の男女比は3:2となっています。
若い世代にも罹患者が多い
長きにわたって60代がピークとなっていますが、近年では10代、20代の若い患者さんが増えている傾向があります。
がんの種類・症状
がんの種類
口腔がんには、舌がん、歯肉(歯ぐき)がん、口腔底(舌の下)がん等があり、口唇癌は少なく、口腔ガンで一番多いのが舌癌です。
口腔がんの原因
■喫煙(最大の危険因子)
■飲酒(危険因子)
※アルコールそのものには発癌性はありません。しかし、間接的には発癌に関与することがわかっています。(アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒトに発癌性があると報告されている。)
■加齢
■ウィルス感染
■炎症による口腔粘膜の障害
■食事などの刺激
■慢性の機械的刺激など
がんの症状
初期症状では、痛みなどの自覚症状はありません。しかし、がんができると舌や歯茎が赤や白に変色したり、しこりができ始めるといった症状がみられます。前癌病変(癌になる前の段階)である白斑症(口の中の粘膜が白くなる症状)の癌になる確率は3~16%ともいわれています。
口腔がんは口内炎と間違われることがよくあり、なかなか治らない口内炎は注意が必要です。
最近テレビなどで、しきりに取りあげられている口腔がん。あらためて自分のお口の中を見て、(もしかしたら、これってがん・・・?)と心配になってしまった方もいるかもしれません。普段、自分の口の中をまじまじと見る機会なんてあまりないので、見慣れないものがあると心配になってしまいますよね。もし不安になってしまった場合は、ぜひ歯医者さんに相談してみてください。
まず問診・視診・触診で正常な組織なのかどうかを判断し、そこで万が一異常が疑われた場合は、より詳しい検査を行うことになります。
最も詳しい検査は、組織の一部を切り取り、顕微鏡で細胞の形を観察する「生検」と呼ばれる方法ですが、生検はその性質上、組織を傷つけてしまいますので、病変があるとの疑いが強く持たれる場合に行います。
病変の有無を調べるため、当院で採用しているのは「光を当てる検査」です。
これは「口腔内蛍光観察装置(商品名:オーラルID)」という装置で、口の中の粘膜に特殊な光を照射することによって、病変を発見する検査です。
この検査は、組織を一切傷つけることがありませんので、「最も手軽で簡単な口腔がん検診」と言って差し支えないでしょう。
ご希望される場合は、お気軽にご相談ください。
以下の方は、口腔がんにかかるリスクが高いといわれていますので、検診を受けることをおすすめします。
・歯並びが悪い
・入れ歯が合わない
・虫歯があり、放置している
・詰め物や被せ物が外れたままになっている、または合っていない
・2週間以上たっても治らない口内炎がある
・タバコを吸う
オーラルIDによる光診断画像(参考)
Mild to Moderate Dysplasia with Bacteria
細菌感染を伴う形成異常(軽度)
Diagn osis result from CytID Cytology Report
Courtesy of Robert Hubbard DDS
Multfocal Epithelial Hyperplasia(HPV)
ヒトパピローマウイルス
Courtesy of C.Mark nichols,DDS
Bering Omega Dental Clinic
Carcinoma in Situ
上皮内癌
Courtesy of Fred Slete,DDS
Moderate Dysplasia
形成異常(軽度)
Courtesy of C.Mark Nichols,DDS
Bering Omega Dental Clinic
Aggressive Ameloblastoma
悪性エナメル上皮腫
Courtesy of Dr.Aman da Canto
Invasive Squamous Cell Carcinoma
浸潤扁平上皮癌
Courtesy of Dr.Stephen Strout
<口腔がんは早期発見が非常に大切>
口腔がんの初期段階では、視診では病変組織の発見が難しい。
オーラルIDは肉眼で見えない部分の癌や口腔内の病変などを
見つけることが可能!
口の中に白い斑点(白板症)があった場合、7から14%の確率でがん化する可能性があり、粘膜のただれや赤い斑点(紅板症)ががん化する確率はなんと50%以上。早期に癌を発見し、初期段階で治療をすれば5年後の生存率は90から95%で、話す・食べる・飲むといった口の大事な機能も、ほとんど支障はありません。
しかし、進行がんではその確率も約50%に低下し、舌を半分以上切除したり、顔や首などに大きな傷跡が残ったりすることになります。体の他の部位から骨や皮膚などを移植して再建しますが、今まで通りの生活をすることは難しいでしょう。
早期発見が非常に大切ですので
口の中のキズ、腫れ・痛み・口内炎が
治りにくい等の心当たりがあれば
当院で一度検査してみませんか?
<オーラルIDの原理と根拠>
オーラルIDは2013年にアメリカで開発され、2015年に日本での使用が始まりました。
粘膜の基底膜まで到達する最も蛍光反応がしやすい波長425nmから460nmの青色光を照射する機器であり、健康な組織は蛍光発光し青緑色に、癌組織や前癌組織は蛍光発光せず暗色に見えますので、肉眼での鑑別が可能となります。
光は安全性の高い光を使用しているため、身体への影響はありません。注射や薬剤を一切使用せず、可視光線照射のみの検査のため、痛みをともなわないことが特徴です。従来の検査と組み合わせる補助的なスクリーニング機器として用いられ、口腔癌の早期発見、早期診断に役立つと期待されています。
オーラルIDがOCF米国口腔がん基金やALD米国歯科学会と協力
”口腔がん早期発見の啓蒙活動に乗り出す”
日本歯科新聞 2015年2月10日(火)記事から抜粋
オーラルIDを用いた口腔がんの検診時間は
約5分ほどで終わります。
ガンの疑いがある場合は
高次医療機関にご紹介させていただいております。
ご希望の場合は、お気軽に当院までご相談ください。
院長 渡辺